SHiBORO開発ストーリー 「なぜ油しぼり機は作られたのか」
地元農家さんの声から
もう30数年以上も前の話になるでしょうか、現会長の恩師でもある石野十朗氏が地元の農家さんから、「菜種を搾る機械を作ってもらえないだろうか。」という相談を受けてから、弊社と油しぼり機の関わりは始まりました。
石野十朗氏は、農文協が発行されている現代農業などに多くの記事を書かれており、発酵、搾油など幅広い知識をお持ちだったと聞いています。十郎氏は、地元の農家さんのために油しぼり機を開発しました。その開発には現会長も参加し、手動型の油圧ポンプを使用したものや、電動油圧ポンプやエアーシリンダーを使用し、電気制御回路を組み合わせた「全自動の玉しぼり機」にも発展していきます。主に農家さんに向けて販売されていたようです。
その後、弊社と油しぼり機の関係は少し遠ざかります。というのも、別の事業を本業として会社を運営していた関係上、売り上げがそれほど多くはない油しぼり機事業には、注力することが出来なかったからです。
自分も搾りたくなってきた
2005年位のことでしょうか、まだ自社ホームページがなかった頃、地元の商工会のホームページに油しぼり機の写真を少しだけ紹介していました。本当に少しだけで、情報としてもごく僅かな情報しか載せていませんでした。それなのに、月に数件お問い合わせを頂いていました。あの僅かな情報を頼りにお電話頂けるということは、よっぽど必要なのかもしれない。何か可能性があるのではないだろうか。という関心が油しぼり機に対して湧いてきました。
その当時は電動と、油圧の油しぼり機でしたが、そのしぼり機を使って色々なものを搾り、料理を作り、食べ、それをブログやホームページで紹介したりという活動をやってみました。そういう活動で会話した方々から、「もう少し小さくて家庭で搾れるものはないの?」というお話をされることがありました。事実、私も油を搾る過程において、もうちょっと手軽に搾れたら、なんかもっと面白いんじゃないかな、と思っているところでした。「無いのなら作ったらいいじゃないか、自分もそういう商品があったら欲しい。」
そういう経緯でSHiBOROの開発はスタートしました。
長かった開発期間
開発を始めたとはいえ、「家庭で簡単に使える」という課題を解決するには、時間がかかりました。ゴマなどの種子から油を搾るには、種子を圧縮しなければなりません。まず、どれくらいの力が必要なのか、それにはどのくらいの強度が必要なのか。1度にどれくらいの油が必要とされるのか。分からないことだらけでした。山口県産業技術センターさんの協力のもと、強度計算をしたり、圧縮試験をしたり、ユニバーサルデザインを取り入れたり、1つ1つ課題を解決していきました。油を搾るにはSHiBOROでは500kgf程度の力を加えなければなりませんでした。家庭で使う商品としては非常に大きな力です。万が一の事故を想定すると、頑丈に作らなければなりません。しかし、頑丈すぎて重たすぎると使い勝手が悪くなります。本体の強度を保ちつつ重量が重たくなりすぎないこと。また、搾った後のしぼりカスを簡単に取り出すことやメンテナンスの簡単さを両立させるのに苦心しました。
意思決定の基準
全体のデザインや操作方法を決める際に、意思決定の基準を2つ設けていました。それは、
・自分が家で使って楽しくなるだろうか
・妻は喜んで使ってくれるだろうか。
こうして、3年の開発期間を経て、2011年6月15日に「家庭用油しぼり機 SHiBORO」の販売を開始しました。
油や油しぼり機を通じて、食卓に嬉しい楽しいを
その後2012年には SHiBORO2。2015年にはSHiBORO-mini、2016年にはSHiBORO-Proを開発、販売するに至りました。開発当初は、色々なことを言われました。「そんな安易な動機で開発するんじゃない」「本当にニーズはあるのかね?売れるの?」ある程度データも集め、それなりの覚悟を決めて開発を始めてはいましたが、くじけそうになるときも多々ありました。しかし、それ以上に多くの皆様に励ましと、ご協力いただき、開発を完了その後も改良を重ね少しずつ商品を増やすことが出来ました。自分1人では出来なかったと思います。子供も小さいのに、なかなか家に帰らない私を応援してくれた妻にも感謝しています。初めて商品が売れ、皆で喜んだことを今でも覚えています。
また、良いお客様にも恵まれ、大変感謝しております。お客様から「搾ってるよ!」というお声をいただくと、とても嬉しくなります。今後も、油や油しぼり機を通じて、食卓に嬉しい楽しいを提供出来るよう、サポート、商品開発に尽力してまいります。